「ご期待に沿えるか…」編

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「美大出身だから」という理由で聞かれたりお願いされたりすることもあるのですが、そういった期待に沿えないことも多々あります。
そんな質問等をまとめてみました。

◆君の師匠は誰なの?
師弟制度は基本的にはないと思ってください。

私自身もお世話になった教授や講師はいるものの「師匠」はいません。
師弟関係を持つ美大関係者の方が少ないです。

歌舞伎や落語の世界とはまた趣が違います。

◆アトリエに行ってもいいの?
残念ですが、アトリエを持っていない人もたくさんいます。

というのも、卒業後は普通に就職している人が多いからです。

作家でもアトリエではなく家で制作する人や、パソコンでの制作が主な人など様々な人がいます。

私もその一人ですが、共同でアトリエを持っている人もいます。
アトリエというと大作がたくさん置いてあって、未完の絵があって絵の具がそこら中に散らかっている・・・というイメージかもしれません。
私のアトリエについていえばそういったこともなく、工具や道具が割ときちんと棚に収められています。

◆どんな絵を描いてるんですか?
美大卒の作家、全員が全員絵を描いているわけではありません。

私もいわゆる「よく分からない」とされる芸術をしています。

美大卒だと絵を描いていて当然と思われているのか「あまり絵は描かないんですよ・・・」と言うと、ややがっかりされたような顔をされて話が続かないことも。

絵とか彫刻とかわかりやすいものも作らねば、と思う瞬間です!

◆じゃあ写真は美大卒の〇〇君にお願いしよう!
集合写真や人の写真、記録写真や風景写真。

友人と旅行をしたりするとカメラを渡される機会が多いのですが、美大卒だから写真を撮るのがうまいかというとそれとこれとは話が別です。

そういった「美術的なもの」を全部美大卒に任せていたら痛い目を見るかもしれません。

専門外であれば写真が苦手な人も多いです。
カメラも専門性が高い分野ですから、分からないことは分からないのです。

でも、お願いされれば頑張ります!!

◆ちょっと、顔描いてみてくれない?
これは、「写真撮って」よりも多いかも知れないです!

私も幾度となく頼まれました・・・が、美大生の全員が何でもかんでもすぐ描けるかと言うと、そんなことないんですよ。

ごめんなさい、ご期待に添えず・・・。
いつも申し訳ない気持ちになってしまいます。

動いている対象をサッと上手に描くのは、本当に難しいのです。
美大の中でも一握りしかいないと思います。

簡単そうに見えるイラストも何時間もかけて丁寧に描かれ、何パターンも検証してようやく生まれている物です。
それほどに難しい。

せめて数時間はポーズをとっていただければなんとかしますが・・・(笑)

◆ほら、あの絵だよ。○○美術館のさ、あの作品。作者誰だったっけ?
「うむむ、ごめんなさい。その美術館行ったことありません・・・。勉強不足で申し訳ない・・・。」なんてこともあります。

美術の歴史は意外な程長いのです。

自分の専門としている部分は詳しいのですが、知らない事も多々あります。
専門外の事は本当に専門外なのです。

油画科に「彫刻作れ」と言われても、技法さえ知らないことも多いです。

芸術の歴史を研究している科もあるので、その人たちに聞けば色々と答えてくれるかもしれません。

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